


「見て見て!あのクマさんのバッグ、かわゆいぃ~ん!v」「あ、ホント!かわゆぃ~~ん!v」
数珠繋ぎになって下山する際、前を歩いていた欧米人オバちゃんのクマに大ウケする我々。下山中はこのクマの話題でおおはしゃぎだった。
しかし今見ると何がどう可笑しかったのやら……人は疲れすぎると意味もなく笑ってしまうものかもしれない。

ヘボピーには大きな声で言えないが、信仰心ゼロの私がはるばるシナイ山までやって来たのは「聖書を研究している友人を喜ばせてやろう」といういわば究極のウケ狙い。モーセが踏んだかもしれない石を拾って土産にしようという大きなお世話のたくらみゆえなのだ。
しかし土産として絵になる「エジプトの砂」とは違って、シナイ山頂に転がっている石ころはぜんぜんカッコよくない。ぶっちゃけそこら辺の工事現場で拾ってきたものに混ぜて渡しても分からないような、灰色でごつごつした愛想ゼロの石ばかりなのだ!
そんな「石を土産にしたいのに!」という観光客のとまどいをガッチリ受け止めバッチリ解決してくれるのが、山頂から山のふもとまでまんべんなく配置された石売り場。地元の人があり余りすぎる時間をかけてセレクトした&どっかから仕入れてきた石たちが、お手伝いの少年少女の前に並べられている。
その多くは「どう見てもここの石ちゃうやろ!」とツッコミたくなるような毒々しい色石なのだが、「シナイ山にあった石」という意味では確かに間違いじゃないので、頂上で石選別しそびれたらこういうところで買ってみるのも手。値段もそんなに高くないようだ。