デルエルメディーナの職人村跡を足を引きずりつつ歩くのは、化粧時間がマリーアントワネット並みに長い妹ヘボピーさん。
オタク羞恥プレイの記録に一役かってくれた彼女ではあるが、やはり私との間には決定的なモチベーションの差が……。萌えパワーでテンション最高な私と違って、ノットオタクな妹はあっという間に鬼のような太陽光線と乾燥にバテバテ……。
どこへ行ってもすぐ泣き入れる妹に、軽い殺意を感じたのはひみつです。
今回のエジプト旅行がいつもと違うのは、今まではぶらりエジプト一人旅(でもガイド付き)だったのに対して、このたびは「何となく海外へ行きたくなったから」というユルユルな動機で、化粧時間の長さにおいては横綱クラスで、一緒に旅行するといつも、化粧時間5分弱のこの私を気が狂うほどイラつかせる妹ヘボピーが同行することに。
エジプト文明に全く興味ないノットオタクが30万も出して大丈夫なんか?不安がよぎる。
いや、まぁ、ひょっとすると妹もこれがきっかけでリアルエジプト萌えしないとも限らないよね……と私の心のオシリスの天秤は激しく揺れ動くのであった。
ともかく、いつもなら13時間の地獄のフライト(エジプトエアーはお情けでも酒は出してくれません)を乗り切るために、そして現地の子供に遊戯王アニメのオープニングを見せてほくそ笑むために、10キロもあるノートパソをヨロヨロと下げて行って、機内でしこしこと腐女子向け小説など書いてるのだが、この度は機内での話し相手がいて荷物も軽くすんでよかった。
それに加えて、さしもの「銀座ママのような心配りのできるY氏(ガイド)とはいえ、さすがに頼めなかったあれやこれやのオタク羞恥プレイ」ができたという意味で、化粧の長いのはまぁ我慢してやるだけのことはあったというものだよね。
私が遊戯王原作で最も好きなシーンはコミックス35巻、「シャダの王を捜して三千里」(※)よって王家の谷は古代エジプト人みならず、シャダマニアの現代日本人にとってもある意味聖域。
崖はこのようにけっこう角度的にデンジャラーなもんで、万一足をすべらせようものなら損保会社のお世話になること必至。
(※)なんのこっちゃ?って皆様に説明しよう!
シャダとは私の同人活動のキモだった遊戯王(王の記憶編)に登場するキャラクター。主人公・武藤遊戯が前世でファラオだった頃、彼に使えていた神官である。
額にタトゥーの入ったスキンヘッド青年で、心配性・おっちょこちょい・そして心なしかオネエっぽい。
さすがにガイドにもそこらを通りかかった欧米人観光客にも頼めないオタク羞恥プレイ、それは「『ファラオを捜してシャダがウロウロ』の現場で遊戯王コミックス35巻を読む」シーンの撮影であった。
座り込んで本を開いた瞬間、気温40度を超える灼熱の谷がいきなりコミケ会場にヘンシーン!
ついでに谷の果てに向かって声を限りに
「萌え~!」って叫んできたよ。
オタク羞恥プレイその弐。メディネート・ハプでファラオ(ラムセス四世)の玉座に遊戯王風敬礼。え?玉座に近寄りすぎ、不敬罪により城壁から吊してカラスに目ん玉つつかせろですって?
……背後に壁が迫っててこれ以上後ろに下がれないんだよっ!(怒)高橋和希チック・エジプトはリアルエジプトの5倍ほどゴージャスなもの。