さて、テル・エル・アマルナの太陽神殿跡に立ち、「アケト」のヒエログリフそのままに昇る朝日を拝んで萌え死にたい!という私の願い、叶えるのは一見イージーなことに思われるかもしれない。
だが思い出して頂きたい。ルクソールだと2万払って気球に乗れば簡単にご来光は拝めるが、ここアマルナは昼間の移動にまで警護のパトカーがついてくるという、観光客のセキュリティーにやたらめったら神経質なお土地柄。 (2005年5月当時)
そして太陽神殿とは、8時にならないとオープンしない=ツーリストポリスが来てくれない、東岸砂漠ド真ん中の遺跡エリアに位置するということを。
よってアマルナ初訪問から6ヶ月後、私の「アケトアテンで萌えを極める」というトッパな願いが実現されるまでには、観光局&地元警察との交渉に際しての、ものすごい根回し(友人Y氏の)とものすごい苦労(友人Y氏の)とものすごい手間(友人Y氏の)が注入されているのだ!!
ワガママ女優の現地ロケじゃあるまいし、私との友情を重んじてくれた侠気溢れるY氏には、もうホントに心から感謝している。
彼が地元出身だというのも交渉に有利に働いたのだろうが、それにしてもめんどくさいのには変わりない。 しょせん遠い日本からの旅行者、「ぜったい無理です」と答えたって分からないだろうに……。
Yさん、アンタこそ漢の中の漢、男塾塾生inエジプトだよ。
「アケトアテンでご来光」の前日にも、Y氏はカイローアマルナ間数百キロを往復して、地元警察と打ち合わせ。なんでもエジプトの役所は、ギリギリになってからもう一度現場と確認しとかないと、ナチュラルに約束を反故にすることもあるから油断は禁物だそうだ。
彼は年季の入ったガイドゆえそのあたりはぬかりがないが、まったく自分も大変なこと頼んじゃったもんだなぁ。
そして当日。
ヘボピーを叩き起こしたのは朝の4時。夜が明けるのはまだまだ先だが、ミニアのホテルから現地までは一時間かかるので、早めに移動しなきゃならないのだ。
ね、眠い……なんでこんなに早くから……。
だが、冷たい夜の空気の中、ツーリストポリスの準備したワゴンと直立不動の警官たちを目にしたとたん、申し訳なさに吹き飛ぶ眠気。ああ、自分が皇帝ネロ並の人でなしに思えてきた。
それがまた、ホテルから太陽神殿跡へは車で一直線に行けるわけじゃあない。西岸から東岸へは船に乗り換える必要があり、当然朝の4時には定期船は動いてないので、渡し船もSPECIALオーダー。
船着き場には早朝出勤の船着き場の職員さん&船頭さんが5,6名。対する乗客はY氏とヘボピー、警察そして私のみ……。いたたまれなさも最高潮。
そして船を下りてからは、また別のツーリストポリス車両で現場へ向かい、数名の警官を伴ってご来光を待つことに。
すまん。なんぼ特別手当を奮発しているとはいえ、朝っぱらからオタクの萌えに付き合わされる警官もたまったもんじゃなかろうて。