2020年1月3日(木)

眠るコッカー
姿が見えないと思ったら、こっそり寝室に入って私の布団で寝息を立てていた。小さく慎ましい姿。涙が出た。

さてみなさん、初夢の具合はいかがだっただろうか。
宝くじで50億円当たって恵まれない子供達を思う存分救えたとか、富士山のてっぺんに巣を作った鷹がダイアモンド製のナスビをくれたとか、ビル・ゲイツの筆頭相続人に指名されたとか、そういうハッピーな夢をご覧になれたならば良いのだが。

私はといえば、理想の夢(他界した父母&妹とおせちを囲んで正月を祝う)を見たいがあまり、元旦の夜には銀行からもらったピングーのメモ帳をびりりと破り、『なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな(長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな)』という和歌をしこしこと書き写していた。

この和歌は「 調子良く進む船が海を蹴立てゆく波の音は、夜が永遠に続いてしまうのではと思うほど心地よいので、思わず眠りも覚めてしまう」という意味だそうで、正月2日か3日の夜に、歌が書かれた宝船の絵を枕の下に入れて眠ると、吉夢が見られるらしい。
あいにく宝船の絵は無いけれど、「家族と正月をやりたい」程度のささやかな夢なら和歌だけでも大丈夫だろう!

こうしていざ初夢!と臨んだ元旦の夜……。

見た夢はといえば、「マヤがマスクマンのマスクを取ってレスラーにキレられる夢」そして「Pokémon GOの夢」であった……。
寝る前、マヤのノンストップ徘徊に疲れ果てて、肝心の和歌を枕の下に敷いて寝るのを忘れたせいだろう。

そこで次の夜は、和歌を敷くのを忘れないように、睡魔に取り込まれる前に紙を枕の下にもぐり込ませた。
これで準備は万端だ!たとえ「家族で正月」の夢が見られなくても、ベッカムにホワイトデーのハンカチをウインク付きで手渡しされる程度の吉夢は約束されるはず。元旦の夜がダメなら2日夜の夢でもOKよ〜ん♪という救済策に感謝!

その結果、見たものは「GAFAMの創始者5人(※)が秘密のミーティングに呼んでくれる夢」と、またしても「Pokémon GOの夢」……。
二日連続Pokémon GOって、やり込みぶりがバレバレだ。

※ ご存知の通り、GAFAMはGoogle, Amazon, Facebook,Apple, Microsoft。
そして登場キャラはラリー・ペイジ、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグ、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツという超豪華メンバーだった。

「GAFAM創始者のお友達になるなんていい夢じゃない?」と思うなかれ。
五人の男が「あいつも呼んだれや」と、バブルの頃によくあった「カウンターが黒大理石で間接照明のバー」みたいなイメージ貧困すぎる集合場所に私を招いてくれたまでは良かったものの、途中で「あ、俺らこれから大事な会議やから!」と締め出された時の情けなさときたら!

同じ時代、同じ人類に生まれながら、巨大企業のCEOと日本の零細企業の平社員では、目にできる景色が全く違うことを痛感して、場違いな集まりにホイホイやってきた自分が惨めで、泡になって消えてしまいたくなった。

そういうモヤモヤを抱えたままジョブズに「君はここに泊まってね」と示された宿は、竹林の中にあるシンプルな庵。瞑想にはまっていた彼らしいセレクトだなあ!と思いながら覗いたトイレは、なんと汲み取り式。
さしものジョブズもこんな人里離れた庵にはボットン便所を設置せざるを得なかったんだ……としみじみ思ったところで目が覚めた。

初夢が汲み取り式トイレとPokémon GO(二夜連続)だなんて、私の2020年is over。
もう一手間(宝船の絵)を省いたのが悪かったのかもしれない。

ならば来年は「七福神を満載した宝船の絵」を添えた『なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな』を枕の下に挟みこみたい。そうすればきっとジョブズ庵のトイレもTOTOのネオレストNX(税込み価格66万円)に進化してくれるだろう。

ロゼリア
Pokémon GO。こうやって一日一度は写真を撮って、おやつをあげてなでてやって、一緒に歩いてバトルした結果、ロゼリアたんと私は「グレートなともだち」になれたのでした。