砂漠
OH!殺風景!神殿跡の左右に広がる荒涼たる大地。砂フェチの私は萌えるものの、少なくとも観光客向けではないのだけは火を見るより明らかだ。
足下の砂の中には、当時の土器の破片が台風明けの海岸のゴミのように無造作に散らばっている。中には鮮やかな羽根模様が描かれているパーツもあったりしてびびるんだよね。

……とまぁ、観光地としては目と心にぜんぜん優しくない風景ゆえ、興味がないヒトには苦行でしかない(ヘボピー談)アケトアテン=テル・エル・アマルナの旅。

だが、2004年9月のクソ暑い中、ここを初めて訪れた私は、この土地の心洗われる荒涼っぷりに爪の先まで魅了されてしまったのだ。

神殿跡の二本の閉花式パピルス柱の間に立ち、視界を分断する山の稜線を眺めてみる。
すると、この場所に立って同じ風景を見つめたアクエンアテンやネフェルティティの視線と自分の視線が重なり合うような気がして、そのうちに自分がどの時代に生きているのか見失いそうな妙な感覚に頭がクラクラしてくる。

アクエンアテン王の死によって打ち捨てられ廃都と化した街アケトアテン。
コンタクトに砂が入って止まらぬ涙を流しながら、ここから「アケト」のヒエログリフそのままに昇る朝日を思い浮かべた私は思った。

「このポイント(太陽神殿跡)でご来光を拝んで萌えを極めたい!」

……そしてこの半年後……。
一介のジャパニーズOLは、願いを現実のものとしちゃったのである。

アケト
「アケト」とは通常「地平線」と訳されるが、厳密には「太陽と大地が接する場所」。そしてアケトアテンの神殿の中心線は、この枯れ谷に向かってまっすぐに伸びている。
アケトのヒエログリフ
枯れ谷の間から太陽が昇る姿が「アケト」のヒエログリフそのものであるがゆえ、太陽神殿がこの場所に築かれたのだ。
枯れ谷
上の写真の場所にもっと近づいてみると、山の具合はこういうカンジになっていた。
よくもまぁこんな丁度いいポイントが都合良く発見されたもんだと感心。 額に汗してナイスビュー確保にかけずり回る王の臣下を思い浮かべると、宮仕えの厳しさに胸が熱くなる。