……とまぁ、観光地としては目と心にぜんぜん優しくない風景ゆえ、興味がないヒトには苦行でしかない(ヘボピー談)アケトアテン=テル・エル・アマルナの旅。
だが、2004年9月のクソ暑い中、ここを初めて訪れた私は、この土地の心洗われる荒涼っぷりに爪の先まで魅了されてしまったのだ。
神殿跡の二本の閉花式パピルス柱の間に立ち、視界を分断する山の稜線を眺めてみる。
すると、この場所に立って同じ風景を見つめたアクエンアテンやネフェルティティの視線と自分の視線が重なり合うような気がして、そのうちに自分がどの時代に生きているのか見失いそうな妙な感覚に頭がクラクラしてくる。
アクエンアテン王の死によって打ち捨てられ廃都と化した街アケトアテン。
コンタクトに砂が入って止まらぬ涙を流しながら、ここから「アケト」のヒエログリフそのままに昇る朝日を思い浮かべた私は思った。
「このポイント(太陽神殿跡)でご来光を拝んで萌えを極めたい!」
……そしてこの半年後……。
一介のジャパニーズOLは、願いを現実のものとしちゃったのである。