パキスタン/ 中国国境をチャイナ様が越えさせてくれず、9日間の予定が11日間に延びた先の旅行では、現地からの電話がほぼ不可能だったこともあり、犬の様子を確認することができなかった。

だからイスラマバードから乗り換え地のバンコクに到着した時には、まっさきに病院に電話したのだ。どれもこれもクレジットカード使用不可能な中、やっと見つけた一台の、凶悪に雑音が多い空港の公衆電話から……。

「すみませーん!はい、現地トラブルで帰国が遅れてて……明日には迎えに行けますので、はい、はい……で、マヤは元気ですか?」
「元気ですよ~。でも……」

そこでブツッと切れる電話。どうやら電話機側のトラブルらしい。
うおおおお!「でも」ってなんだよ?!「でも」って!!!

死ぬほど気になるが飛行機の離陸が迫っており、別の電話を探す時間はない。バンコクから次の乗り換え地、香港までのキャセイパシフィックでは、心配のあまりビールがまずかった。

そして香港。ここでもまた電話機がクレジットカードを認識してくれず、あちこちの電話で何度もトライしてようやくつながった。
「ま、マヤになにかあったんですか?!!(ぜいぜい)」

すると受話器に食いつきそうな私の気も知らぬげな看護士さん、のんびりした感じでいわく「マヤちゃん、元気なのは元気なんですが、さびしくてゲージから出ようとして、爪が割れて出血したので処置しました。
あと、さっきいただいたお電話でなにか感じたんでしょうね。ひどい興奮状態になったので、鎮静剤を打ちました」 な、なさけねぇ!!!

スストからイスラマバードまで800キロの陸路をたどり、さらにバンコク・香港と乗り換えて、ようやく関空に到着後、ぱんだ動物病院へ直行。
患畜用ゲージという名の奥座敷から飛び出してきた茶色い固まりは、鳴きすぎたせいで声は枯れ、ストレスのせいか体重2割減で別犬のようにスリムになっていた……。

<補足>
マヤのお泊まりに支払った金額は、動物病院に12万円(ワンワンドッグ料込み)、国際電話代9千円也。
病院代は仕方がないけど、電話代が腹立たしい。ブチブチ切れる上に5分も話してないのにこの値段とは……。

どうやらあっちの電話機でもこっちの電話機でも、「このカードは使えません」「オペレーターにおつなぎします(そのまま切れる)」のアナウンスを聞かされまくった間の通話料も、ぜんぶ加算されていたと見える。もうカードではぜったい国際電話しないぞ!

……とそんな犬をふたたび預けて、土曜日からダージリン(インド)旅行。どうぞ管理人&ヘボピーの旅の無事と、マヤの心の平安を祈ってくださいませ。

マヤ
パキスタン出発当日。ギリギリになってスーツケースを詰めるヘボピーの回りでおおはしゃぎ。
マヤ
ふざけて入ってみたりして。 1時間後にこの犬を襲う悲劇を思うと目頭が……。
マヤ
気持ちが先走るあまりマッハで移動。
マヤ
はやくいきましょう!(わくわく) 車で楽しいところに連れて行ってもらえるいつものパターンだと思って、率先して玄関に向かう犬。哀れだ。
マヤ
車内でもワクワク継続中。ぼく、ぶーぶーがだいすきなんだ。どこにいくんだろう。おかあさんのおみまいかな。 この後、動物病院に着いてからも何も知らずにはしゃいでいた。 だが、看護士さんにだっこされた自分を置いて、私たちが出ていった時……。 私はあんなにあっけにとられた犬の顔を生まれて初めて見た。